微細立方体(0.3mm角)
指標モデル/サンプル加工仕様
(ⅰ)指標モデルの設定
微細立方体に関しては、「肉眼で見えるか/形状を識別できるか」の分岐点となる「0.3mm角」を基準として設定する。
(ⅱ)試作
上記の指標モデルを、実際に切削でサンプル加工を行った。なお加工に当たっては、通常の加工現場で入手可能な汎用製造機械、ホルダー、刃具を使用することを重視し、ハンドリング装置以外は特殊なものは使用していない。
(ⅲ)精度/測定方法
上記仕様に基づき、実際に加工したサンプルを下記に示す。2005年に㈱入曽精密が製造した「0.3mm角サイコロ」は、1個製造に9時間以上必要であったが、2022年現在は、ワーク自動持ち替えロボット“ORIGAMI”の導入により、1個当たり30分以下の加工時間を達成しており、出来上がったサンプル間の一辺のバラツキも「±0.01mm」に収まっている。
今回は単純に一つの面の寸法精度だけを測定したが、立方体なので、面同士の相関位置精度も測定していくことで、より設計に反映し易いデータが取れると考えられる。今後測定器メーカー等と連携して、測定方法についても標準的な手法を探っていく必要がある。
(ⅳ)用途
0.3mm角の立方体が切削加工できる技術が存在することで、どのような用途が拓けるだろうか。実際に加工を行った㈱入曽精密では、2005年に「0.3mm角のサイコロ」の製造に成功しており、このサンプルを見て、光学機器系部品、通信装置部品、医療機器部品等の微細部品加工の引き合いが発生している
医療機器/電子デバイス/光学機器等の高度化へ
上記のような精度を安定して実現する立方体の加工技術が存在することが研究者、設計者等に知られれば、より微細化、高密度化を前提にした製品開発のヒントになると期待される。