Expert Bisai Creators Contest 2025
応募作品

1インチ 学生部門

バクテリオファージ​

北九州市立大学​
福岡県北九州市
チーム:芸術サークル​

連携企業:株式会社ワークス​

バクテリオファージは100万分の1メートルほどの極微小ウイルスでありながら、秩序ある芸術作品のような形状を持ち、他の微生物とは一線を画す精巧さを示します。またバクテリオファージのもつ遺伝子運搬の特性は医療・研究に応用されており、本作品は自然が生み出す微小で精巧、かつ有用な存在を表現しています。

使用機材・材料
ニッパー、ラジオペンチ、瞬間接着剤

精密なる炭鉱夫 ― 真鍮に刻まれて ~The Precision Miner – Machined in Brass~

有明工業高等専門学校
福岡県大牟田市
チーム:精密モノづくり研究室

本作品は、日本のエネルギー産業を100年以上にわたり支えた三池炭鉱の象徴である「石炭人形」に着想を得ています。その中でも代表的な「形」である「炭鉱夫」の姿を、現代の精密加工技術によって真鍮に刻みました。
かつて地元を支えた炭鉱の記憶を,金属の質感と技術で「刻む」「伝える」「残す」.地域の歴史と現代の技術を融合させた,時代を超えて受け継がれる小さな記憶の結晶です.

使用機材・材料
▼加工機械
立形NCフライス盤(YZ-400MD 山崎技研)
▼使用工具
(荒加工)ボールエンドミル(R1.5 住友電工)、(中仕上)ボールエンドミル(R1.0 ミスミ)、(仕上)ボールエンドミル(R0.5 トミーグローバル)
▼使用素材
真鍮

1インチ 若手技術者部門

究極の『モザイクアート』~微細加工に愛を込めて~​

ニッシン・パーテクチュアル株式会社​
埼玉県春日部市
チーム:ふぇむふぇむ​

微細を愛して早2年。
愛に歯止めが効かない私は、もはや1インチのサイズでは満足できなくなっていました。1インチじゃ物足りない。そこで気づきました。
「1インチを微細への愛で満たせばいいんだ。」
そこで0.01インチサイズの微細加工工業会のロゴを大量に加工し、1つの巨大ロゴを完成させました。
美×驚×技×「愛」
微細への愛を込めた逸品です。
フェムト秒レーザーといえど、最小スポット径15μmの装置で、0.25mm程のサイズに繊細なロゴを表現するのは不可能でした。​
そこで、より小さいサイズを求め、度重なる条件出しの結果5µmのディンプルを加工することに成功させました。
そのディンプルを2μmピッチで千鳥配列で配置することで、0.25mmのサイズで繊細にロゴを表現することができました。​
ただ、0.25mmのロゴの形状に2μmピッチで点データを正確に配列するのは人力ではほぼ不可能です。
そこで、AIを使いCADのPythonで点を配列するコードを作成。また、0.25mmのロゴを1インチサイズのロゴに配列するコードも作成しました。
ポイントは同じ機械を使っても、他ではできないデータ作成と機械の専用ソフトでできないデータの吐き出し方です。​
苦労したのは、5µmの条件出し・繊細に表現する為のピッチ設定・AIでのデータ作成(何回もAIと壁打ちしてのコード作成)です。​

使用機材・材料
▼仕様機材
フェムト秒レーザー加工機 GF LASER P400 U​

究極の『超硬サイコロ』~潜像加工に愛を込めて~

ニッシン・パーテクチュアル株式会社​
埼玉県春日部市
チーム:ふぇむふぇむ​

微細を愛して早2年。​
ふと手にした500円玉の偽造防止技術(潜像加工)を見て「これを再現したい!」と思い、フェムト秒レーザーによる潜像加工の研究を始めました。​
半年ほどかけて再現に成功したものの満足できなかった私は、「加工が難しい超硬でサイコロにすれば誰も真似できない」と考え実行。​
六面すべてに潜像を刻んだ“究極の超硬潜像サイコロ”が誕生しました。​
偽造防止をあえて装飾へと昇華させた、唯一無二の逸品です。​
切削加工では困難な超硬合金に微細加工を施し、さらに潜像加工という機能性を持たせた点が本作品の大きな特徴です。​
また、この潜像加工のデータ作成には相当な試行錯誤を行いました。​
フェムト秒レーザー加工機を持っていれば加工条件を真似される可能性はありますが、「独自のデータ作成なら差別化できる」と考え、​データを簡単には思いつかないような設計にしています。​
さらに、偽造防止技術を“装飾”として応用した事例がほとんど無いことに気づき、​誰にとっても分かりやすい「サイコロ」という形を採用しました。​
片面には漢数字が、もう片面にはサイコロの目が浮かび上がる仕様になっています。​

使用機材・材料
▼仕様機材
フェムト秒レーザー加工機:GF LASER P400 U

超小型高精度やじろべえ

アイジーエヴァース株式会社
愛知県刈谷市

やじろべえの球精度(±10μ)を特に重視し、特殊な自在変形型治具を用いて角素材から4回段取りでのマシニング削りだし加工法によって完成させた。
特殊治具とブリッジ形式のコラボ加工が前例のない加工工程であった為、超高難度となり、頭と腕の球体部分のつなぎ部分の誤差を最小限(10μ以内)に抑えることにとても苦労した。

使用機材・材料
▼使用機材
碌々スマートテクノロジー製 超高精度高速微細加工機 AndroidⅡ
▼使用工具
A社製エンドミル
▼使用治具
特殊自在変形型治具

Lady Beetle​

株式会社吹野金型製作所​
京都府京都市
チーム:フジマツ​

手に取って遊びながらワイヤー放電加工技術に親しんでもらうことを目指した玩具のような作品です。​
身近さを感じられる丸みのあるフォルムのテントウムシをモチーフとし、羽を動かす機構を組み込むことでより細部まで観察してもらえるよう工夫しました。​
羽や胴体、土台のほとんどをワイヤー放電加工で加工可能な形状で製作しています。​
胴体は治具を活用しながらワイヤーで切り抜いた薄板を重ね、テントウムシの丸みや細い足を表現しています。​
薄板を角材から切り出すのにもワイヤーを使用していますが、1㎜以下の薄さに加工するため何度も失敗を重ねました。

使用機材・材料
▼使用機材
ワイヤー放電加工機、細穴加工機、研磨機、フライス盤、マシニングセンター、放電加工機

加工技術と成形技術を駆使したマイクロウェルプレート​

株式会社ワークス​
福岡県遠賀郡
チーム:研究開発グループ​

①金型加工技術​
5軸ナノマシンを使用、精密な機械加工で金型を製作しました。
その金型はSTAVAXにNi-Pメッキを施し、1つのウェルサイズは円錐形状で上面がφ15μm、底面がφ30μm、高さが30μmととても微細なため、その工具は先端形状φ3μmの単結晶ダイヤモンド工具を内製し、40,000個並べて製作しました。
②微細樹脂成型技術​
上面がφ15μmの突起が40,000個並んでいるため、転写性能を高めた離形を行う必要があるため、加熱、保圧、冷却を自動で制御されたシステムを社内で開発し、自動で成形が行える技術を開発しました。

使用機材・材料
▼仕様機材
超精密微細加工機(JTEKT社製AHN15-3D)、先端形状φ3μmの単結晶ダイヤモンド工具、3次元測定器(三鷹光器社製NH-3SP)

色鮮やかなスプーン​

株式会社ワークス​
福岡県遠賀郡
チーム:研究開発グループ​

・酸化被膜の厚さに応じ、色を自由に表現できる魔法の金属、チタン。​
・チタン素材の特性を活かし、日常生活に精密加工の魅力を届ける。​
①人にやさしい(生体親和性が高い)
②環境にやさしい(半永久的に劣化しない)
③錆びない(酸化被膜を形成)
・「軽さ」と「強さ」を両立した究極の食器」​
・機能と美しさを兼ね備えた「工芸品×工業技術」の融合。​

使用機材・材料
▼使用機材 ・卓上サーボプレス機用オリジナル金型の製作​​
▼使用材料
・純チタン材(99.999%)を使用​​
・リン酸水溶液を使用した酸化被膜の形成​

一目千分の一桜

プラスエンジニアリング㈱​
東京都豊島区
チーム:Bチーム

弊社は、金属特注部品加工の会社としてエントリーして参りましたが、過去複数回の出展作品
との差別化のため、以下の前提を設けました。
何らかのギミックがあること
当社が得意とする金属だけではなく、それ以外の異素材にチャレンジすること
この上で、地元宮城県の南部地域における一つの観光名所として人気のある「一目千本桜」の桜をモチーフとして、今回の作品を企画しました。
中身が空の球体に近い形状は、これまで制作実績が多くない形状のため、図面を仕上げつつどういった方法で加工を行うか考えていきました。桜の模様は型彫放電加工で仕上げています。球体への放電加工を可能にするためのボスの仕様決定や、加工時の位置・角度決めに試行錯誤を重ねました。

使用機材・材料
▼使用機材
NC自動旋盤(シチズンマシナリー)、放電加工機(三菱電機)、ワイヤー放電加工機(オークマ)、平面研削盤(岡本)、マシニングセンタ(オークマ)、マシニングセンタ 超音波援用加工ユニット付き(牧野フライス)
▼使用材料
SUS303、SUS304、石英ガラス
▼CAD
solidworks

零れ桜

プラスエンジニアリング㈱​
東京都豊島区
チーム:Aチーム

連携企業:ニッシン・パーテクチュアル株式会社

宮城県仙南地域の「一目千本桜」を微細加工に落とし込んだのが、この投影型のオブジェです。
放電加工で桜をくり抜いた超硬板に、ニッシンパーテクチュアル株式会社の虹色構造色がアクセントとなり一目で感じる美しさを実現。
桜の模様を投影することで「世界驚かせるような“遊び心”」を表現し、最小0.38mmの桜から零れ落ちる光が、日本の製造業を照らす光となれるよう願いを込めました。

使用機材・材料
▼使用機械
NC自動旋盤(シチズン)、精密成型研削盤(アマダ)、NCワイヤー放電加工機(西部電機)、NC細穴放電加工機(ソディック)、超音波援用加工ユニット付きマシニングセンター(牧野フライス)、3D CAD(solid works)
▼使用材料
SUS440C、非磁性超硬、ガラス、MAG-LITE、ラッカー塗料、その他

µ-cap(マイクロキャップ)

株式会社キャステム​
広島県福山市
チーム:向山翔

会社に入ってから学んだ加工技術や設計の考え方を活かし、身近なものを自分の手で形にしてみたいと思い、一インチのキャステムの帽子を題材に選びました。帽子の曲面部分に彫り込んであるキャステムのロゴマークなど、小さな作品の中にも今まで学んできた技術と知識を込め、若手らしく、学びを挑戦へとつなげた作品です。
帽子の形状が薄く、バイスで挟めない構造だった為、両面加工を行う際に低融点合金で固定して加工を行った。帽子にcastemのロゴを掘る際、文字が綺麗に見える角度や、刃物の選定に苦労した。

使用機材・材料
▼材料
A7075
▼使用機械
FANUC ROBODRILL a-D21MiB
▼切削工具
最小工具径 Φ0.8 超硬エンドミル

手のひらマンホール

株式会社キャステム​
広島県福山市
チーム:吉川隆聖

普段は気に留めることの少ないマンホールのデザインには、その土地ならではの魅力が刻まれています。福山市のマンホールを題材として微細加工で再現し、普段見過ごしがちな足元に潜むデザインの美しさを手のひらサイズに凝縮しました。小さな素材を固定するために治具と低融点金属で固めて加工を行いました。
本物に近い質感を再現するために、黒染めを行いました。
長時間の加工に耐えられる刃具の選定に苦労しました。

使用機材・材料
▼使用機械/切削工具
FANUC ROBODRILL α-D21MIB5、RUIJUN FR400S​、NSTOOL MX225 Φ0.3×0.3、OKAMOTO PSG63EXB​、NSTOOL MSES230P Φ0.2​、NSTOOL MHR230 Φ0.5×4​、NSTOOL MHRH430R Ø4×R0.1×24

0.05mmの便り

株式会社キャステム​
広島県福山市
チーム:森田和志

1インチ以内という制約の中で加工技術の可能性を示すため、薄物を対象とした精密加工に取り組んだ。多くの人が馴染みのある切手を題材とすることで、技術の難易度だけでなく“見る楽しさ”も感じられる作品を目指した。
厚み0.05mmという極薄ワークを削り出すために、まず極薄ワークをクランプできる治具を設計した。さらに、加工工程分解においても、切削負荷が一点に集中しないよう条件を細かく調整し、段取りの順序を何度も見直した。加えて、ツールパスの生成では、切削負荷によるワークの破れを抑える経路を検討し、CAM設定の微調整を重ねた実現した。これら複数の要素をトライアンドエラーで総合的に最適化することで、極薄材の削り出しという目的を達成した。

使用機材・材料
▼使用機械/切削工具
FANUC ROBODRILL​、R1.5ボールエンドミル、R0.1ボールエンドミル

削り出しビスマス結晶​

株式会社MOLDINO​​
東京都墨田区
チーム:YMKK天之御影命(あめのかげのみこと)

3次元フラクタル構造を微細加工で表現できないか?
そんな難題に挑戦しました!​
敢えて加工困難な形状をモデリングし、5軸マシニングセンタをフル活用し形状内側極限まで削り出しました。
コーナーRも直角に近い値(R0.1)まで追い込み、実物よりもエッジをピンピンに立たせています。​
さらに、その特徴である虹色を再現するために、弊社DLCコートで被覆し、よりリアルさを追求しました!

使用機材・材料
▼使用機械
DMG森精機 DMU85 monoblock
▼使用治具
MST スマートグリップ​
▼使用ホルダー
MST MONOカーブ
▼使用工具
自社製超硬工具